ギタリストと読譜力について。

ギタリストにとって読譜力ってどこまで必要かとても難しい問題だと思います。

クラシックから入らないギタリストは9割方は耳からギターを覚える訳で、基本的に譜面を読む力は弱いと思います。
絶対音感も付き難い時期に始めるのがギターなので、その点でも他の楽器に比べると不利が先行してしまいます。

それではギターで仕事をするにはどの程度の読譜力が必要なのか私の経験から感じる事を書く事にします。

私が音楽を始めた当初は今で言うTAB譜は存在していなくて、あくまでも五線譜だけでした。
音楽の現場でもギタリストに渡されるのは100%五線譜だけだと思います。
TAB譜だけに慣れてしまうのは現場では危険極まりない事だと思います。
私事ですが、最近のギター雑誌に書かれているTAB譜は全く読めないし、TAB譜自体ポジション的に難が有る場合が多いので読まない事にしています。

現場ではどこまで書き込まれた譜面が出てくるか・・・と言うと、私の経験上では決められたフレーズは何は無くともおたまじゃくしで書かれて来ます。
特にイントロやエンディングは間違いなく音譜で書かれてきますし、間奏も指定されたフレーズはほぼ譜面に起こされています。
それを事前に譜面と音源を貰えれば別ですが、何の前置きも無く俗に言う“初見”で弾かされる時はかなりの読譜力を要求されます。

譜面を受け取って1分経たないうちにカウントを出されて曲がスタートする事もしばしばです。
一発目から音を外す事はほぼ許されないので随分と勉強になったと今は思います。
1分間でざっとメロディーの部分には目を通します。
慣れて来ると見ただけでポジションとフレーズが浮かぶ様になるので、譜面には習うより慣れろ・・・としか言えません。

初見の仕事は10代の終わりからして来ましたが、20歳の頃世の中でカラオケブームが起こり始めてあちこちのカラオケメーカーの仕事を随分しました。
オケが既に出来上がっていてガイドの歌メロを部分部分録音して行くんですが、そんな時はスタジオ内に私一人ポツンと山のような譜面の前に座らされてモニタールームから間髪つけずに「はい1番の何小節目から行きます・・・終わったら早送りで2番出します」とか指示が出て、ほぼ初見で1日10時間近く弾かされた事もありました。
スピードを要求される仕事だったので間違えが許されない状況で随分譜面には強くなったと言うか慣れてしまいました。

ちなみに私も初見の練習をしたのはポップスの曲集でボーカルのメロディーを手当たり次第にギターで弾いたりしました。
ボーカルのメロディーって極端に難しい動きが無いので、譜面に慣れるのには手っ取り早いと思います。

次に練習したのは自分が知っているメロディー(童謡でも何でもいいんですが・・・)を譜面無しでギターで弾く事でした。
口ずさめるメロディーをギターですぐに弾ける様に訓練するのも読譜力のアップには重要だと思います。

音の高い・低いはある程度慣れると着いて行けるんですが、リズムの譜割は色々なパターンを自分なりに研究するしかありません。
私の経験上、5連や7連ってのはあまり出て来ませんが複雑なシンコペーションのパターンは多々出て来ます。
どんなに複雑なシンコペでも殆どの場合過去に例があるパターンが殆どなので、研究すればある程度パターン化して譜面を映像として理解して弾く事が出来ると思います。

初見に関しては私の経験では達人を何人も見て来ました。
人の譜面を覗き込んで逆から読む人や、私の持っていた自分でコピーしたやたら難しいテーマの曲を意図も簡単に初見で吹いたサックスプレーヤーもいました。
ギタリストでもやたらと譜面に強い方がいて、その人曰く「歌えるフレーズは全部弾けて当たり前・・・」みたいな事を言われた事もあります。
考えてみたらベンソンの得意なスキャットとギターのユニゾンなんかもそれに当てはまる事だと思います。

そんなこんなで私ですが、今でも極端に難しいジャズのテーマは別として青本と呼ばれるジャズ曲集程度の譜面なら大体弾けると思います。

譜面が読めればそれが全てでは無いのは私も昔から痛いほど痛感しています。
譜面がある程度読めてしまうが故に、自分のギターにじれんまみたいな物を感じていました。

譜面が読めなくても数限りなく素晴らしいミュージシャンは多数居る事も知っています。
ただ私が思うには譜面って音楽で言う所の言葉みたいなもので、例えば自分でアレンジした譜面を他のミュージシャンが私の意図した処を譜面を通して理解してくれたり、又その逆もある訳です。

1曲を人に伝える場合、譜面があると無いとでは時間的にも全然変ったものになってしまうし意図した事を上手く口で伝えられない時に譜面って大事なのかな・・・と思います。

ギター自体、特にエレキギターは譜面よりフィーリング的な考え方を持つ人が多いと思いますが、海外のセッションギタリストなんかはメチャメチャ譜面に強い上更にその譜面に書かれた以上の素晴らしい演奏をしています。
凄くいい例がこの映像だと思います。
あきらかに彼は初めて見る譜面に自分なりのフィーリングを加えて素晴らしいアプローチをしています。
特筆すべきはボイシングとギターの音ですね。
私の経験上、読譜力はあるに越した事は無いギターのテクニックの一つだと思います。






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