ミュージックマンと私の付き合い

ギターで仕事を始めてまず困った事は、アンプでした。

アマチュア時代に買ったのはギターばかりで、仕事をするようになってちゃんとしたアンプって持っていませんでした。
当初はまだアンプのレンタルを利用出来る仕事をしていなかったので、当然現場に自分のアンプを持ち込むのが常識的でした。

ただ、本当に稀に現場にアンプが用意されている事もありました。(意外な事にNHK関係は現場にフェンダーのツインリバーブが用意されていたんですよね。勿論フェンダーのロゴは外されていました・・・NHKって当時はミュージシャンに腕時計を外すように頼まれるような時代だったんですよ)

やはりいい音のするアンプが必要になって、早急にアンプを買わなければいけない状況になった時に本当にいいアンプに巡り会いました。
ミュージックマンの210HD・・・というモデルでした。10インチスピーカー2発に130Wという仕様でした。212HDっていうのも候補に上がったんですが、こっちはツインリバーブ並の大きさだったので運搬の事を考えるとチョット無理でした。
当時はアンプってあまり選択肢の無い時代だったと思います、そんな時に鳴り物入りでデビューしたメーカーでしたよね・・・。このタイプでしたが画像はHDではなくて、アンプの左側のミュージックマンのパネルも白地だったと思います。

musicman-210.jpg

先輩のギタリストに薦められたのもきっかけでしたが、なんと言ってもコンパクトなボディーに(フェンダーのデラックスリバーブより小さかったのでは・・・)パワーがあって、音はツインリバーブみたいにギラついた感じも無く、比較的マイルドなトーンだったと思います。

ミュージックマンの最初のインパクトって、アンプよりも広告のポスターでした。
覚えている方もいると思いますが、クラプトンが(たぶん初来日の時だったと思います)例のボディーをカットしたエクスプローラーを持って、後ろにマーシャル張りの3段積みのミュージックマンの前でポーズをとっている広告でした。私の記憶ではシールドはカールコードだったと思います。
本当に格好いい写真でした。モノクロ写真だったと記憶しています。

クラプトンが日本公演をミュージックマンで演奏していた事は当然です。

ミュージックマンはそんなこんなで3年は使い倒しました。他のアンプは持っていなかったので、この1台で全てをまかなっていました。
ハードケースに入れると運搬の面で大変なので、ミュージックマンを買った時に付いていた簡易型のボディーに上から被せるハードカバーが最後はボロボロになりました。カバーを止めるベルトも2回程切れました。

かなりパワーがあって、アンプで歪ませる事はまずありませんでしたが、クリーントーンは本当に良かったと思います。今の記憶では確か、ブライトスイッチを常にオンにして使っていたはずです。隣に付いていた確かディープっていうスイッチは入れたり入れなかったりでした。

ボリュームは結構デカイ方で、マスターは10、ボリュームは大体5くらいでいつも使っていました。
ミュージックマン自体はある程度音を出さないと、結構しょぼい感じになってしまうので常に大きめの音でした。現場って意外と音がデカいんですよね。

途中スピーカーがへたって来た感じがして、アルティックのスピーカーに交換しました。
2回程、やはり輸送し過ぎたのか(なんたって飛行機の移動でも荷物と一緒に預けていましたから。当然フラジャイルのステッカーがアンプに張りまくられる事になります。)真空管がダメになって交換しました。
ミュージックマンって他のギタリストも結構真空管がダメになった・・・と聞きます。意外に弱かったのかもしれませんね。
予備の真空管を持ち歩いていた事もあります。

持っていた時期は年齢的に、19歳になって間もなくから22歳くらいまででした。

次に買う事になる“ブギー”にその座を明け渡すまで活躍してくれました!

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ジャズギターと私

プロフィールに少し書きましたが、今はジャズを中心に音楽をやっています。

私が現役でやっていた音楽って、全くジャズとは縁遠い音楽でした。
従って、ジャズって当時は自分のギターの幅を少しでも広げようと思い聴いたりしていたんですよね。
当然私世代はジャズとロックの融合“クロスオーバー”時代の洗礼を受けている世代なので、若い時からジャズに対しての興味は常に持ち合わせていました。

その時代に、やはり私が影響を受けたのはジェフ・ベックを始めマクラフリンやマイルスのバンドにいたレジー・ルーカスやら・・・と、そんな人達でした。

いつしかクロスオーバーっていうジャンルが、フージョンと名を変えた頃からジャズを下地としたミュージシャン達が数多く現れ、素晴らしい演奏をしていた頃でもありました。
当然私もそんな人達に影響を受けない筈が無く、17歳の頃に日本で唯一と言ってもいいジャズの入門書、渡辺貞夫さんが書いた“ジャズ・スタディー”を買って一生懸命理解しようとしていました。

同時期に一番良かった教則本ってアメリカのサックス奏者“オリバー・ネルソン”の書いた“パターンズ・フォー・ジャズ”でした。
これは本当に良く練習の時に役にたちました。
渡辺貞夫さんの本は、コードの解釈やコード進行なんかに関しては凄く為になったと今は思っています。

そんなこんなでジャズって常に憧れる音楽であった事は間違いありませんでした。
ただ、常にジャズは自分のやっている音楽と直結していない・・・と言うか、縁遠いジャンルだったので中々身に付くところまでは行かないのが現実でした。

ある時の話。
ある大物歌手のディナーショーのバッキングを頼まれた時、何故かとりあえずバンドで1~2曲軽く流して・・・と言われ、その時のバンマスが「じゃ、酒バラをボサでやろうか」と軽く言われ、当然私はバッキングにするものだと思っていたら、「ギターがメロ行って」と更に軽く言われ22歳の私は唯一知っていた(パット・マルティーノのは少しコピーしていたので)フレーズで何とかその場を切り抜けた事を今でも鮮明に覚えています。
当時、確かに私はそこそこのミュージシャン達と仕事をしていましたが、彼らは私よりかなり年上の人ばかりだったので当然ジャズなんてものは軽くこなしていました。(世代的に彼らはジャズから音楽業界に入って来た人達なんですよね)

その時に思いました。
ジャズって適当に、しかも自己流で身に付けるよりキッチリと先生について習おうと思いました。
色々と知り合いのつてを辿って、凄くいい先生が見つかりました。
先生の名前は“潮先郁男”さんでした。往年の名プレーヤーの方です。
年齢的には、当時で50を越えたくらいだったと思います。
先生は基本的に、プロに教えるレッスンプロみたいな先生でした。ある程度弾けないとレッスンを受けられないと云われていました。
私のミュージシャン仲間も何人か習いに行っている人がいました。

レッスンの内容ってやっぱり凄く濃くて、初回のレッスンからもの凄く密度の濃い内容でした。
当時私がライブで渡辺香津美さんを見た時に、流れる様な4ビート1拍刻みをやっていました。
先生のレッスンでは、いきなりそれからスタートでした。

俗に言う“ハーモニック・クリシェ”と言われるコードチェンジでした。
初回にいきなりブルースのもの凄いクリシェの譜面を3枚渡され、「次までにこれを覚えて来てね」と言われ目が点になりました。
確かに素晴らしい内容の譜面で、私は一生懸命練習したのを覚えています。

先生のレッスンって、最初の3ヵ月くらいはコードについての練習ばかりでした。
それは凄くいい内容だったと思います。ギタリストとして必要なコードチェンジに対しての解釈やポジショニングは、とても役に立つ内容でした。本当に実戦で役立つ事ばかりでした。

それを過ぎた頃から、「じゃあ、この進行でアドリブを作って来なさい」と言われました。
私は気合を入れて次のレッスンに自分で作ったアドリブを譜面に書き起こして、意気揚々とレッスンに行ったんですよね。
そのアドリブを聴いた先生の言葉・・・「中々いい節回しだね」と言われ少しジャズに近づいたかなんて思ったりもしました。

先生のアドリブに対しての解釈や、コードに対してのメロディーの持って行き方(コードトーンとテンションを上手く使いながらの解釈)や、代理コードを使った時の対応などは本当に為になったと言うか、今は感謝の気持ちでいっぱいです。

プレーヤーとしては伸び悩んでいたようですが(トップレベルでの話ですよモチロン)、レッスンプロとしては最高の先生だったと私は思います。オーソドックスながら、ギタリストとしてのジャズの基礎からを本当に丁寧に教えて貰ったと思います。
最近になって今も先生はお元気だと人づてに聞いて、とても嬉しくなりました。

先生の話はさて置き、私のジャズについて。
現役時代、意外にジャズ系のセッションに参加されているミュージシャン達とバッキングで一緒になる機会が多々あり、結構そういった人達のライブって見に行ったもんです。
ただ私が人前でジャズを弾く・・・って事は最後までありませんでした。

現役を辞めて、唯一持っていた(実は売れなかった・・・)オベーションのアコギでなんとなく弾くのってジャズのメロディーでした。
余談ですが、そのオベーションって2年に1回くらいしか弦を換えた記憶がありません。

ですので、私は実は人様の前でジャズなんて本当は弾いてないんですよね。
改めてギターを手にしてから、ようやく昔習ったジャズを思い出しながら好きな曲だけを弾いている状態です。

そんな私にも一緒にやってくれるミュージシャン達が現れてくれて、なんと、ジャズのライブをやる事になってしまいました。
ハッキリ言って現役時代、自分のライブって青山のとあるライブハウスがオープンした時のコケラ落しで急造バンドを作ってやった1回だけです。
しかもその時って21歳だったと思います。

そんな訳で今回のライブ、個人的には本当に初めてのライブと言って間違えないでしょう。
人前で演奏する事は星の数ほどして来ましたが、なんとなく自分のライブって気持ちが違いますね。

ディメンションDとコーラスの話し

コーラス・・・早い話がギターの音を拡げて揺らすエフェクターです。
コーラスは色々なコーラスを使っていました。

最初はやはり、定番のボスのCE-1=通称コーラスアンサンブルでした。
それを暫く使ってMXRから出たコーラスを使っていたりもしました。
その2つ共エフェクターボックスに組み込んでしまいました。

どちらもこれぞコーラス!というかかり具合で最初はステレオにして中々良かったのですが、やはり時代の波かデジタルディレイで作るコーラスの方が持てはやされる時代が来てしまいました。
ディレイ関係の話しは又別に書くとして、今回はコーラスの話を中心に書きます。

どのスタジオにも当時はローランドの“ディメンションD”が置いてありました。私も自分のラックを使うようになってディメンションをコーラスとしてチョイスしました。

Dimentin-D.jpg


ディメンションって、基本的にコーラスとしてはこれでいいの?というくらいかかりが弱い感じがしました。ただ、コーラス的な音はディレイで充分に作れたので、ディメンションは別の面で活躍してもらいました。
ディメンションって他のコーラスには無い強みがありました。
なんと言っても入力がステレオだとエフェクトを掛けた時に、右チャンネルに入力された音と左チャンネルに入力された音を微妙に振り分けながらコーラスがかかるんですよね。
このコーラスの最大のメリットは、ソロなんかでロングディレイを掛けた時に生音とディレイ音をディメンションにステレオで入力した時です。

そうすると、左右のアンプから微妙にミックスされた生音とディレイ音が拡がりのある音で出てきます。
このセッティングは、バラード調のソロなんかでは本当に活躍してもらいました。
ディメンションってプリセットされた音しか選択出来ませんでしたが、通常は2番のボタンの音を使っていました。
掛かりも上品で、ラックの中には常にディメンションは入っていました。

もう一つのいい所は、録音用のバランスアウトが付いている事でライン録音の時は重宝しました。

基本的にはコーラス・・・というより左右に音を拡げる意味で使っていた感じです。

ライブ時は常にそのセッティングでやっていたのですが(ほぼ90%はこのセッティングでした)、ミキサーの方と話していて音像がぼやける感じがするよね・・・と言われ、又々考え込んでしまい更にその上を行くセッティングを見つけました。

これは本当に慣れたライブとか、ミキサーの方が協力してくれてチャンネルを確保出来る時限定のセッティングでした。
ステージ上はアンプ1台でそれをマイクで拾ってもらい(この時点でロングディレイも掛けてしまいます)、その音にミキサー卓でディメンションを掛けてもらい、左右に拡げてもらいます。
分かり易く言えば、ステージ上のアンプの音がセンターに来て、左右にディメンションの掛かった音が出る訳で、トータルで3チャンネル使う訳です。

これってずっとアンプ2台のステレオでやっていた私としては、ステージ上では若干違和感がありましたが、モニターされた音を聴く限り完璧でした。ただこれはライブの時にただでさえ少ないチャンネルでやっているのに、ギター1本に3チャンネルも使うなんて贅沢が許される時だけのセッティングでした。そんな時にもディメンションの音って品のある音で、本当にいいエフェクターだったと思います。

その後自宅録音(当時は4トラックか8トラックのMTRが精一杯な時代)などする時はそのセッティングでやりました。

それから20数年経って私も新たにコーラスを購入しようとした時、驚いた事にLINE6から出ているコーラスは当時のディメンションを完璧にモデリングしてあり(なんとプリセットの音も1~4番までちゃんと同じでした)、入力も当然ステレオで出来るエフェクターで感激しました。

勿論、即座に購入して試してみました。
昔のままのディメンションの音とサウンドに20年の時を経て感動しています。

弦(ストリングス)の話し。

所有していたギターについての話しはこれからも少しづつ書いていくとして、肝心な弦の話しを書こうかと思います。

ギタリストたる者、弦にこだわりを持つのは当然の事だと思います。
私もギターの弦に関しては、異常なまでにこだわってきました。

アマチュア時代はほぼ一環してエレクトリックに関しては、0.09ゲージを使っていました。ブランドも勿論こだわりは無く、楽器屋さんで安い弦をセレクトしていたと思います。(アコギに関しては常にライトゲージだったので、この日記では省略する事にします)

プロになっても暫くは、0.09ゲージの弦を使っていましたが、ピッキングや運指の関係上少々手ごたえが無くなって来た事や、チョット線の細い音が気になり出して0.10ゲージにトライしてみました。
0.09の弦ってチョーキングはし易いし、ビブラートもかけ易いし結構いいゲージだとは思うんですが、やはりセミアコなんかに0.09はチョット細過ぎる・・・と言うのが正直なところでした。

私の好きなラリー・カールトンは、俗に言うヘビーボトムと言うセットを使っていたと思います。
(と言われていますが、カールトンは結構ギターによって弦のゲージを変えていた様子です。初期に来日したライブではドットマーカーのビンテージの335、どう考えても0.10以上のゲージを使っていたとしか思えない音でした)
1~3弦が0.09のセット、4~6弦が0.10のセットでした。当然私も試していました。
このセットが結構流行って、メーカーでもこのセットで売り出したりしていました。(今もあると思います)

当時の私の感想では、0.10のセットだと1~3弦は丁度いいんだけど、4~6弦は特に5・6弦がブーミーになり過ぎてバッキングなんかしたり、低音のリフを刻んだりする時にチョット抵抗感がありました。逆に0.09のセットは低音はいいんだけど、1~3弦が頼りないというか線が細過ぎて特に録音なんかすると張りの無い音になってしまっていました。
結構目的の音に近いゲージの弦ってフェンダーから出ていたバレット(確かそんな名前の弦でボールエンドが弾丸の形していました)っていう弦でした。しかし、残念な事に音が良くなかったです。

色々試行錯誤しました。当然カールトンのヘビーボトムのセットも試して、最終的に私が辿り着いたセットはこんな感じでした。

まず、1~3弦が0.10で4~6弦が0.09の組み合わせでした。このゲージに辿り着くまでに結構時間がかかりました。
0.10のいい所と0.09のいい所の両方を組み合わせてみたんですよね。
正直このセットは大正解だったと思います。

23歳くらいからこのセットに辿り着いて、現役を辞めるまで全てのギターはこの組み合わせの弦を使っていました。全てとは言っても、最後の頃に使っていたスタインバーガーの時は専用弦だったので除外します。(スタインバーガーの話しは又別の日記で・・・)
このセットって基本的にメーカーからは出ていなくて、0.09と0.10のセット両方を買って1本のギターに使う訳で、半分は捨てていました。考えてみれば勿体無い事をしていました。

このセットのいい所は、ソロを弾いても張りのある音で、逆にカッティングなんかはキレのある低音で本当に使い勝手が良かったです。
ディストーション系のリフなんかもブーミーにならず、尚且つソロでは張りのある音がするのでチョット他の組み合わせでは弾けなくなってしまいました。
この組み合わせってストラト系には絶対にお薦め出来ます!

当時はやはり1本のギターでバッキングからソロまで全てをまかなわなくてはいけない状況でした。
1曲の中で、ソロはバリバリにディストーション&ディレイ、逆にバッキングはコーラスかけて16やコーラス&ディレイでアルペジオなんて時代でした。
録音した時点では、絶対に別々に録っている音を、ステージでは両方を同時に再現出来なければならない状況でした。
そんな時に私の考えた組み合わせのセットは、見事にその状況に対応出来たと思っています。

他のギタリストを見たり、話しを聞いたりしてもこんな組み合わせで弦を張っている人は見当たりませんでした。
ヘンテコな組み合わせだったとは思いますが、昔の音源を聴いてみても、やはりいい選択だったと思っています。

最終的に好きだったメーカーって“ディーン・マークレー”でした。ちょっと割高でしたが、張った瞬間の音が一番長続きしたと思います。
他のメーカーの弦は、全く使っていませんでした。したがって弦は常に箱単位で0.09と0.10を買っていました。
弦の交換も結構早めの交換をする方だったので、かなりの出費でした・・・。ライブの度に新品にしていましたし(ツアーで毎日演奏なんて時も毎回換えていました)、夏場は汗の関係で頻繁に張り替えていました。

プロを辞めて暫く(と言っても20年近く)経ってからギターを再び購入した私は、昔のセットを試そうと思いましたが、それはそれでその時代の想い出としてあえて使いませんでした。
今は“エリクサー”の0.11以外使っていません。

昔のように派手なエフェクトを掛ける事も無く、少し大人びたギターを弾く今日この頃です。

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